バルクアップを目指す「増量期」・ダイエットを目指す「減量期」において、栄養バランスを考えない食事や過度な食事制限は望ましくありません。また、断食など普段行わないことを急に始めることもオススメできません。一時的には効果は現れますが、筋肉が減少し代謝が悪くなることでリバウンドの可能性が高まります。ストレスの原因にもなってしまいます。
筋トレ中は「増量期&減量期」どちらでも栄養バランスを崩さないPFCバランスを意識した食生活が大切です。
PFCとは?
三大栄養素
「PFC」とは、タンパク質(protein)・脂質(fat)・炭水化物(carbohydrate)の三種類の栄養素の頭文字をとったものを指します。これらを食の三大栄養素と呼びます。これらPFCバランスを意識した食事が筋トレ中のバルクアップ・ダイエットに直結します。
《特徴とグラム換算した際のカロリー量》
⚪︎タンパク質(4kcal/g)・・・筋肉を構成する物質。鍛えた筋肉を大きくするための材料となる。
⚪︎脂質(9kcal/g)・・・エネルギー源。ただし、熱量が多いため余った分は体脂肪となってしまう。
⚪︎炭水化物(4kcal/g)・・・脂質同様エネルギー源。また、タンパク質とともに筋肉として合成する時に働く。
PFCの摂取目安
農林水産省や厚生労働省の資料「エネルギー産生栄養素バランス」によると、男女共通の三大栄養素の理想的な数値を以下と提示しています。
この数値はあくまで健康的な生活習慣の予防・改善のための指標であって、筋トレ中のバルクアップ・ダイエット向きではないです。指標のPFCバランスではタンパク質が少なく脂質が多い傾向にあります。筋トレのレベルは各々ですので、各自のレベルや目的に合わせて数値を変える必要があります。
それだけでなく、ビタミン・ミネラル・アミノ酸といった身体の調子を整える際に必要な栄養素も怠ってはいけません。特にミネラルは身体で合成することができず食事からしか取り入れることができません。
「増量期&減量期」におけるPFCバランスを意識した食事
筋トレ中のPFCバランスの数値はどのぐらいがベストなのか?
平均的な体型の日本人成人男性(約172cm、約69kg、体脂肪率約20%)をモデルケースにPFCバランスの計算をします。
1日の摂取カロリーを計算(基準)
PFCバランスを出す前に1日の摂取カロリーを算出する必要があります。摂取カロリーは年齢や生活習慣・運動強度などで変化します。ここでは摂取カロリーの目安を一般的かつわかりやすく計算できるように「除脂肪体重×40kcal(女性は35kcal)」で計算します(計算方法は多々ありますのでこの値はあくまで目安として計算してください)。※除脂肪体重=体重−体脂肪分(体重×体脂肪率)
《平均的な体型の成人男性の場合》
除脂肪体重を算出します。除脂肪体重=69kg−13.8kg(69kg×0.2)=55.2kgとなります。除脂肪体重に40kcalをかけて摂取カロリーを算出します。摂取カロリー=55.2kg×40kcal=2,208kcalとなります。
摂取カロリーを計算したら、PFCバランスに沿ってそれぞれの数値を算出します。PFCバランスの摂取目安は[P:13~20%、F:20~30%、C:50~65%]、ここでは[P:15%、F:25%、C:60%]で行います。
摂取カロリーにそれぞれの数値をかけていきます。すると、P=331kcal、F=552kcal、C=1,325kcalとなります。さらにそれぞれをグラム換算にする(タンパク質:4kcal/g、脂質:9kcal/g、炭水化物:4kcal/g)と、おおよそP=83g、F=61g、C=331gとなります。この数値が平均的な体型の成人男性が1日に摂取すべき栄養素となります。これらの数値を意識した食生活を送ることが目標となります。わかりやすくまとめると、
⚪︎モデル:平均的な体型の成人男性(約172cm、約69kg、体脂肪率約20%、除脂肪体重55.2kg)
⚪︎1日の摂取カロリー=2,208kcal
⚪︎PFCバランス…タンパク質=331kcal(83g)、脂質=552kcal(61g)、炭水化物=1,325kcal(331g)
筋トレ中のPFCバランス
では筋トレ中のPFCバランス計算をしていきます。ここでも平均的な体型の成人男性が筋トレをしていた場合を例にとって計算していきます。筋トレ中は「バルクアップ」「ダイエット」などその人の目的やスタイルによってPFCバランスを変化させる必要があります。目的等を考慮しないあくまで一般的な数値で示すと筋トレ中にオススメのPFCバランスは[P:F:C=3:2:5]です。例によって計算します。
1日の摂取カロリーは2,208kcalなのでPFCの数値は、P=662kcal、F=442kcal、C=1,104kcalとなります。さらにそれぞれをグラム換算にする(タンパク質:4kcal/g、脂質:9kcal/g、炭水化物:4kcal/g)と、おおよそP=166g、F=49g、C=276gとなります。
⚪︎筋トレ中のPFCバランス…タンパク質=662kcal(166g)、脂質=442kcal(49g)、炭水化物=1,104kcal(276g)
もしあなたが平均的な体型の成人男性であれば、筋トレ中は普段よりもタンパク質を多く含むものを摂取し、脂質と炭水化物を含むものを少し減らす食生活を意識すると良いということです。この計算式に沿って自分に合った数値を算出してみてください。
増量期(バルクアップ)
ボディービルダーのような体型を目指さない限り基本的なPFCバランスを変える必要はありませんが、「増量期」においては摂取カロリーを基準よりも増やすことになります。よって脂質・炭水化物に関しては普段通りか特に制限をかける必要がありませんが、タンパク質をより多く摂取しなければいけません。プロテインなどをうまく活用することでバルクアップ成功を目指しましょう。
減量期(ダイエット)
ダイエットの場合体脂肪を減らすことが目的となるので、1日の摂取カロリーを減少させるよう管理します。PFCバランスの調整としては脂質を少し減らす程度にし、バランス自体は大きく変えないようにしましょう。栄養バランスが崩れると思わぬ体調不良を起こしかねないため、基準のPFCバランスを意識した食事をすることで結果的に摂取カロリーを抑えられるように工夫します。それにより筋肉を減らすことなくダイエットを行うことができます。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも参考になれれば幸いです。